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DEATH STRANDING - ネクローシスとBT ママ―の謎 考察

ネクローシスについて掘り下げます

 以前の雑多な考察でネクローシスとママ―の遺体について触れました。これについて考えてみます。

 

ネクローシスと火葬

デスストの世界では死体を速やかに火葬しないとBTになってしまい座礁地帯が生まれます。冒頭のムービーで死体処理班のイゴールが火葬に間に合わずヴォイドアウトしてしまいました。あの時はたまたまヒッグスがいたので大規模なものになってしまったのかもしれませんが、死体が原因で座礁地帯が発生する条件は同じです。

ネクローシスの際死体は地面から現れたタールに沈み込み、そこからすぐBTが現れるようです。これはデス・ストランディング以降見られる現象で、要するにビーチとあの世が座礁してきたことによる影響なわけです。人は死ぬと肉体(ハー)から魂(カー)が分離し、カーがビーチを経てあの世に流れ着く事で死は完了します。この「あの世」から魂が帰るべき肉体を求めて現世に座礁してくるのがBT出現であるとのこと。

しかしこのネクローシスを防ぐ手立てあります。火葬です。以前の記事でも少し触れましたが、あそこに書いてあるとおりです。火葬はエジプトの文化には見られない行事です。古代エジプトの埋葬では、魂が何れ肉体に戻ってくる事を信じていたので、できるだけ綺麗な状態に保つためミイラを作ります。ある意味で、BTが肉体を探して彷徨っているというのもこの死生観に通じます。火葬されると骨は残りますが、基本的に肉体は煙となって天に登ります。肉体がタールに沈んでゆく事でBTが発生するわけですから、タールが出てくる地面とは逆の方向に逝くことでBTになり得ないのだと解釈しました。

 

図で見るネクローシス

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通常人が死亡すると魂がビーチに行き、海岸に向かって歩いていくことであの世に行くのだと思われます。(ハートマンのムービーから推測)魂が既にあの世に行っていても、火葬しなければネクローシスしBT化、火葬すればBT化しないという条件を図に起こした結果です。ネクローシスの際遺体がタールに沈んでいくのを、遺体がビーチまたはあの世に行っていると解釈しています。

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ママ―の場合です。おそらく重要なのは魂の在り処です。BTは肉体を探して彷徨う魂との事でした。ロックネと融合する前は赤ん坊経由で魂が肉体に収まっていました。つまりちゃんと肉体に収まっていたのでBT化、ネクローシスしないと言えます。ロックネと再結合後、ママ―の肉体は魂を失ってなおネクローシスしません。普通の人と違うのは、その時点で肉体と魂両方がこの世にあることです。ここらは後で掘り下げます。

BTは魂か肉体か

問題はここです。BTは帰るべき肉体を探しています。しかし人と交わればとてつもないエネルギーを伴ってヴォイドアウトします。これも前回の記事で少し触れたのですが、死体処理班のイゴールがBTに捕まった仲間を射殺した事、そしてBTに捕まったイゴールがナイフを自分の身体に突き立てて死のうとしたことを考えると、ヴォイドアウトは魂と魂が交わる事で起こる現象なのです。怖気づいてパニックになったわけじゃなく、実際にハンターに引きずられていた同僚は射殺された瞬間BTが離れていきました。このことから考えるとBTは魂であると言えます。

しかし妙です。遺体を放置すればBT化する事。そして火葬すればBT化しないこと。火葬すれば魂は帰るべき肉体が無くなったと悟るから来ないと言われていましたが、ならばネクローシスは帰るべき肉体を見つけたということでしょうか?ネクローシスの際タールが現れて遺体が沈んでいくことを考えると、遺体もまたビーチまたはあの世に行っているかもしれず、そうなったことでBTが発生します。肉体がなければBTは発生しないのです。

これは希望的観測とも言えますが、BTの見た目は腐敗して爛れた皮膚のようです。放置されて腐った肉体を表現しているのでしょうか?

 

 ママ―の特別条件

 ママ―がネクローシスしなかった理由。これは今回の本題でもあります。ママ―は出生から特別でした。モリンゲンとロックネは双子として生まれ、それどころか結合双生児だったようです。つまり一つの肉体に魂が二つあったわけです。ここで二人は切り離されますが、それによってそれぞれの魂が一つの肉体に収まります。これはある意味正常に戻ったと考えることもできますが、どうやら彼女等の場合は違います。

モリンゲン(ママ―)は卵子に異常がありました。一方ロックネは子宮が機能不全でした。ママ―が子供を産んだのは、子供が欲しいと願ったロックネの卵子を使ってママ―の子宮から産んだという事になります。この関係は双方が一緒になることで補うことが出来、解決できる問題です。彼女等は本来一つだったし、一つであるべきだったのかもしれません。奇しくもテロに遭い流産となってしまいましたが、数奇な世界なので子供があの世に生まれてしまいました。同時にママ―は死んでいたわけです。エジプトの死生観によれば、ハーとカーが分離して初めて死が訪れるので、ある意味完全な死では無かったのかもしれませんが。肉体が死んでいたにも関わらず、あの世に生まれていた子供を経由してママ―の肉体自身もあの世に繋がっていたために、既にビーチに行っていた魂が肉体に戻ってきていたというわけです。この条件でネクローシスしないと言うことはやはり、魂が帰る場所を見出していたからBTにならなかったということなのでしょう。

臍帯を切りあの世との繋がりが無くなったことでママ―は文字通り亡骸となったわけですが、切ってすぐそうなるわけではなくマウンテンノットシティまでは耐えました。これはママ―の魂がビーチではなくロックネとも繋がっていたからなのでしょうか。とにかくロックネと会ったことで二人はまた一つになりました。生まれたときと同じ状態です。一つの肉体に二つの魂があります。そして魂なき遺体もは未だネクローシスしません。上記の図にあったように、通常の場合と決定的に違うのは、遺体になっても魂はビーチまたはあの世に行かず、ロックネの肉体、つまりこの世に現存している事です。

 

これらを踏まえると、ネクローシスは「肉体が魂を後追いする現象」であり、BT化は「あの世で肉体と魂が再結合しあらぬ形でこの世に戻ってくる現象」なのだろうと言えます。遺体がタールに沈むあの現象は、魂がビーチまたはあの世に行っている時にしか起こらない現象なのです。ママーの遺体がネクローシスしない事象において、重要なのは魂の居場所だったんです。

 

 まとめ

 ざっくり仮説をまとめます。

BTは肉体を探して彷徨う魂と作中説明されますが、肉体が地面から現れたタールに飲まれたあとBT化する条件、また火葬して肉体がなくなればBT化しない条件を考慮すれば、ネクローシスはあの世で魂と肉体が再結合する、または肉体を触媒にしてこの世に座礁する現象といえます。

ママ―の場合、本来一つの肉体にあったがバラバラになった二人の魂が、ロックネの肉体にママ―が戻ることで再結合しました。 肉体を失っても魂はロックネの中にあるので、ビーチに行くことはありません。ママ―の魂がロックネの中、この世に現存している状況で遺体がネクローシスしないのは、上記の「肉体が魂を後追いし再結合する」という仮説の裏付けになるのではないだろうか。

 

読んでくれてありがとう。何か見落としてる情報があるかもしれないので「ここは違うよ!」みたいなのがあったらぜひ教えて下さい。皆の意見、仮説もあれば聞きたいですね