ゲームについていろいろ考えるとこ

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煩わしさをスパイスにするゲームデザイン<Metro Exodus>

Anthemの発売が目前に迫る中、最近になって情報をチェックしてほしくなったMetroExodusを買ってしまいました。昨年の代表作であるRed Dead Redemption 2とも共通するようなゲームデザインがされています。面白かったので書いてみます。

 

 

日本語はPS4のみと聞いていたので、安くなるのを待ってPS4で購入する予定でしたが、SNSでSteam及びEpic版にも表記は無いものの日本語版が収録されていたとのことなので、急に欲しくなり買ってしまいました。

シリーズをプレイするのは初めてです。事前情報など知りません。シリーズの中でどういった位置づけなのかも分かりません。そんな状態でプレイしています。

あらすじ

物語の舞台は2036年。20年前に核戦争が起こり人類の大半が死滅。残った人々は死の灰から逃れるためモスクワの人々は地下鉄の駅や路線の中に根を張り生活をします。これだけでもそそりますね。

こんなゲーム

今回メインに取り扱いたいのは煩わしさがあるゲーム性です。このゲームは探索がメインになるゲームで、感覚でいうとFalloutに近い雰囲気があります。生きるためには銃と弾薬、ガスマスクのフィルター、治療キットが必要になります。

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それらを確保するのは探索も必要ですが、主に素材を用いてクラフトします。左上の赤枠が現在所持している素材です。画像では物資が多くて、化学物質(?)が全然足りていません。そして見て分かるように、素材はこの2種類のみ。

ゲーム画面はこんな感じ

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UIがありません。これには感心しました。一応残弾数などを確認するため、デフォルトではTABキーを押すと確認できます。

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一般的なUIのように、ある情報得るには左腕に付いている装置を見ます。基本的には構えると見えますが、あるキーを押すと強調表示もできます。画像は腕時計とその上のライト、そしてモーションセンサーがあります。見切れていますがガイガーカウンターもあります。腕時計は時間帯の確認、ガスマスクがあるときはフィルターの残り使用可能時間が表示されます。その上のライトは自分がどれだけ光にさらされているかを示す光度センサーです。これをみるとどれだけ敵に視認されにくいかがわかります。モーションセンサーは敵の存在をビープ音で教えてくれ、またレーダーを見ることで敵の方向もわかります。

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ちょっと画像がわかりにくくて申し訳ないのですが、これはガスマスクを付けているときの様子です。ひび割れと、穴を修復するためのダクトテープが写っています。汚染度が強い場所に入るときには、このガスマスクを付けないと一定時間で死んでしまいます。そしてそれを維持するためのフィルターが必要になります。あとフラッシュライトも充電式です。残量が無くなったら専用の装置を握ることで充電する必要があります。

拾いものですがこれがマップです。素晴らしい。投入感を高めるために、別UIのハイテクなマップなんて用意されていません。ミニマップも存在せず、目的地を確認するにはこれを用います。プレイヤーの位置を示すものもちゃんとあります。裏返すと現在の目標が主人公の手書きのメモで示されています。いちいちデザインが凝ってる。

煩わしさ

以上が基本的なゲームプレイ要素です。気にかけることが比較的多く、はっきり言って煩わしいのですが、不思議なことにストレスに感じません。この独特なプレイフィールを醸し出しているのはやはりこの煩わしさでしょう。残弾に気を使わないと探索で戦闘になったとき非常に不利になります。敵対する人間は物資を落とすので割に合うのですが、ミュータントは何も落とさないので弾が減る一方です。それに銃も手入れをしないとジャムを起こします。移動も早いものでなく、目的地に向かうことだけを考えるとやはり面倒なのですが、苦にならない範囲内に何かしらあるので、探索しながら進めます。

 これらのことから本作は

「煩わしさ」という快適なゲームプレイへの障害をあえてゲームに組み込みつつ、プレイヤーが必要以上なストレスを感じないような工夫がされている。

といえます。

素材がたった2種類しかないのもその筆頭でしょう。弾を現地で作ることが出来るティハールやヘルシングは3スロット目に固定されています。探してみるとマップにはそう遠くないところに隠れ家があり、作業台を使って必要なものを制作できます。

マップのデザインも凄い。パット見でどこに進めばいいのか分からないが「ここじゃね?」と進むとマジでそこだったりする。本当にこの進行方向で合っているのか自信が無いが、それなりに進んでいるとイベントムービーが起こったりする。知らず知らずのうちにゲームに誘導されている事に気付きます。分かりやすくは無いが、迷わない。この絶妙なマップデザインも素晴らしい。

RDR2と共通する

こういった手法はこれから流行るかもしれません。というのも、RedDeadRedemption2が既に実践済みで、非常に高い評価を受けたからです。RDR2は徒歩での移動も含めて、基本的な動作がいちいち面倒だったりします。物を漁る際もいちいち専用のモーションがあり、蓋を開けて物を取りバッグに入れるという一連の動作があります。銃撃戦で落ちた帽子を拾ったり。常にガンオイルの個数を保ち、定期的に銃をメンテ出来るようにしなければいけません。しかしそれらの動作は間違いなくゲームの投入感を表現するための重要な役割を果たしています。

CoDとの対比

ある意味で本作の対極にあるのがCoDシリーズでしょう。CoDはゲームプレイの快適性を突き詰め、競技性を突き詰めました。展開が早い銃撃戦で淡々と敵を撃ち抜けますが、Metro Exodusは銃撃戦も大変です。まず弾の節約を考えて出来る限り少ない弾数で敵を倒したいですね。これが最近は普通にウケます。プレイヤーはもはや快適なゲームプレイを求めるとは限らず、ガッツリ硬派な物をプレイして手応えを感じたいのでしょう。私もRDR2と本作をプレイしてそう感じました。

これからのゲーム業界

現在のゲーム市場で、こういったゲームは増えていると思います。God of Warをプレイしたときも感じましたが、近年はユーザーが感じるゲームの総合評価の中でグラフィックが占める割合が減っています。PS3が発売された頃は各社こぞってグラフィックの綺麗なゲームを発表しました。ネット上でも「神グラ!」と話題になる作品が多かった。しかし最近「神グラ!」というふうに話題になる作品がそれほど見受けられないのは、もはやグラフィックの進化が来るところまで来たということだと思います。おそらくこれ以上ゲームのグラフィックが良くなることはありません。これからはグラフィックで勝負するのが難しくなったので、各社頭を使って一生懸命ゲーム性を突き詰めた作品を考えてくれているのです。私がプレイした中では特に『God of War』『Red Dead Redemption』『Metro Exodus』がそう感じさせます。ゲーム業界の未来は明るい。

 

最後に

上記にも書いたように、Metro Exodusには独特なプレイフィールがあります。投入感が高く、じっくりとプレイできます。探索型FPSが好きな人、ロールプレイが好きな人にオススメ出来ます。快適さが無いと楽しめないプレイヤーには向きません。RDR2が楽しめた人は大体楽しめるんじゃないでしょうか。